この記事で書くことは、VTuberを推す者にとって、著しく不愉快かもしれない。
以前に書いたような、ホロメンを名指しで批判する内容ではないが、むしろVTuberの価値自体を毀損する可能性をはらんでいる。
上記を踏まえて、それでも読もうという者は、この下に白字で書いたから読むと良い。致命的な部分は、※から※までの部分に書いてある。
なお、僕は現在、天音かなたと大神ミオと桃鈴ねねと白上フブキのメンバーシップに入っており、また桃鈴ねねのASMR歌枠を聞きながらこれを書いていることを表明しておく。
☆令和4年1月22日追記
大幅に追加し、また伏字を解除しました。
アインシュタインは言った。
『ものごとはできるかぎりシンプルにすべきだ。しかし、シンプルすぎてもいけない。』
僕が新しい概念に出会ったとき、それへの僕の姿勢を決めるために、新しい概念をできるだけ簡潔に記述したくなる。
アイドルを「神」(多神教における神。特に日本の神社に祀られている神)と記述したのは、まさにそれだ。
女性のVTuberを記述するなら、既知のどんな存在が最も簡潔かつ明快に説明できるだろうか。
女性VTuberのことは、それを揶揄する者から「キャバクラ」と言われることが多い。これは、VTuberを追っていない者が知っているのが「雑談をしている」「金を投げられる」という2点のみだからだ。
界隈の外には、所詮「その程度」の情報しかないのも無理は無い。興味がそもそも無いからだ。
VTuberに興味が無い者に(というか、どの界隈でも同じだが)、少しでもVTuberを紹介しようとしたら、まず金銭的な情報から入るのが早道だ。だから界隈の外では「金を稼いでいる」→「その手段が雑談だ」という浅い所で分析が止まってしまう。
VTuberは、キャバクラと本質的に異なるところがいくつもある。
まず、いくら見ても基本的に無料であること。キャバクラは時間料金制である。
次に、VTuberなら同じ相手と長時間喋ることができる。キャバクラは交代制であり、法外な金額を払わない限り、はがされる。
更にキャバクラは、「こちらの話を聞いてもらう」のであって、VTuber本人の話をこちらが聞くスタイルとは決定的に異なる。
他にもお触りがあるかどうかとか、ワンチャンあるかどうかとか、いくつもあるが、とにかく致命的に異なる。
キャバクラではないのなら、VTuberとは、いったい、何なのか。僕らはVをどのように扱ったらよいのか。また、気持ちの良い推し活をするために、何を念頭に置き、重要視し、何を無視すべきなのか。
※
女性VTuberは、「オタサーの姫」に似ている。
僕は基本的に女性のVTuberを見ているので、「姫」という表現になる。もしかしたら、性別を反転させれば男性VTuberについても同じことが言えるかもしれないが、これは推測なので断言は避けよう。
・VTuberはファンと非常に頻繁に交流をすることができる。
・VTuberはファンに、公開する情報を制限することができ、また裏垢を持っていて、そちらで情報を出すことができる。
・ファンはVTuberに貢ぐ。
・ファンはVTuberの機嫌を損ねないように、褒める。
・ファンはVTuberの公開されていない情報を知ろうとする。
・ファンは自治ルールを勝手に作り出し、そのルールに外れた者を叩く。
これらは、サービスの提供を適切に行おうとする配信者側と、その活動をできるだけ快適にしようと考えるファンとが、色々考えて結果的にこうなっているので、最初から「オタサーの姫」ムーブをしようとしてファンが動いているのではない。僕自身、「オタサーの姫」がめちゃくちゃに嫌いなので、これは命を懸けて言える。
僕は大学時代に入っていたオタサークルの後輩にオタサーの姫が4つ下にいて、僕の3つ下の後輩複数がその取り巻きとなっていた。
その取り巻く様子が非常に醜く、またTwitterにて僕が姫にリプライを飛ばした際に非常に不快な経験をしたので、オタサーの姫の構造に敏感になっている。
VTuberとそのファンは、構造上オタサーの姫とその取り巻きに酷似している。それを発見したとき、絶望と諦めが僕を襲ったものだ。
しかし、決めている。僕は彼女らを推すと。
まず、VTuberは「ロール」なので、その「中身」について言及することは厳禁である。
例えば「おしん」が放映されて主人公が飢えていた時期に、TV局に米が届いたとのことだが、これはおしんのロールとTV局にいる俳優との区別がつけられていないから起こったことだ。
僕らはロールと中身を別にして考えることができる。そうだろう?
次に、VTuberが建前を設けた時には、「そういうルールである」と全てを承諾する必要がある。
例えば将棋を指すときに、一手目に飛車を「ぶ~~ん」と掴んで「グワシャー」と相手の玉将にぶち込むことは、物理的にはできる。しかし、そんなことをしても面白くもなんともない。
ゲームを面白くするためのルールは守る必要がある。
アイドルVTuberを推すためには、「褒める」必要がある。
これには色々と理由があるが、根本的には「アイドルは、褒めさせるサービスだから」に集約される。褒めてこそ面白い・価値のある界隈だ。
例えばマスゲームは全員が一致して動く必要がある。「俺は自由だ~」と変な動きをすると、全体にとって不利益となる。全員が一致して褒めているからこそ、得られるものがある。それに外れた者は荒らしであり、つまみ出されるべき存在だ。
アイドルVTuberを、「サークルの姫」とすると、謎であった様々なV界隈の不文律が説明できる。
まず、「伝書鳩がなぜダメか」。こんなの、他のサークルの姫のことを話題に出したら、場の一体感が削がれるからに決まっている。
次に、「なぜVの中身の人物に交際相手がいても問題ないか」。サークルの姫はロールであり、その中身がどうなっていようと、配信等で見せる建前がロールの本体だからだ。
更に、「なぜ素性を隠さねばならないのか」。これは、姫たちには手を出さないという了解のもと姫扱いしているからだ。
そして僕が一番知りたかった、「なぜV同士の会話にファンが横やりを入れてはいけないか」。
サークルの姫同士が語っている所に、横からリプライを投げ込むということは、姫との間にある不可視の垣根を取り払ってしまうことに繋がる。姫に積極的に影響を与えてはならないという了解があるのだ。
さて、アイドルが何か不祥事みたいなことを起こした場合、僕らはそれを糾弾べきだろうか?
いや、違う。
僕らは「姫扱い」を楽しんでいるのだ。それを自覚するならば、どんなにひどい言い訳であろうと、バレバレの嘘であろうとも、それを受け入れるべきだ。それがV界隈を最も効率よく楽しむ方法である。
いくら、佐藤希が(Vではないが……)誰かと同棲していることを否定した所で、苦しい言い訳は通らない。
しかし、ファンはそういう「どうでもいいこと」は無視して姫を推しているのだ。「清楚で無垢」という設定の佐藤を推しているのだ。それにファンにだって、それぞれに生活がある。佐藤が誰と交際していようと、ファンの生活に大きい影響は与えない。
僕らは「サークルの姫を推している」ということに自覚的になるべきだ。
「なんだかわからないもの」を推しているのでは、結局、メン限の価値等について説明できないだろう。
そして姫を誇るべきだ。堂々と推せ。サークルの姫が、一生そのサークルに所属しているとは限らないと、知っているだろう。
メン限についてわかりづらい人がいるかもしれないから補足する。
いつもの配信が、誰でも姫を囲むのに参加できる広場で行われている雑談とするならば、メン限は鍵をかけた会議室で行われる内緒話だ。
内緒話の内容を周りに言いふらす者は著しく信用を無くす。メン限壁紙等を外に持ち出すのも同じだ。
鳴神裁を見ていて、内容は面白いと思っていたのだが、一貫して、「それをしたVTuberは、いったい何のルールを破ったのか?」「バチャ豚は、どのように悪いことをしているのか?」という部分について説明が無い。
彼の道徳でもって、独裁的に裁いているが、では何が理想のVTuberなのかは語られない。
「アイドルVとは、サークルの姫である」という位置づけは、鳴神の道徳観のアンチテーゼたりうる。まあそもそもテーゼが明文化されてないから反論も何も無いんだけど。
なんか嘘ついたり不倫したりするのはいけない、というガキの理屈で裁いているわけだが、結局Vって褒めサービスの中心にいるってだけで、「鳴神が安心して褒めることができる対象」ではないんだよな。DWUだって、牡丹きいだって、それを褒めるファンがいる。その界隈に土足で上がりこんで姫を貶したところで、姫扱い自体が悪いわけではないはずだ。
僕の好きな言い回しを使えば、「そういうゲームなんだよ」だ。
※
心境の変化から、普通に公開するように直しました。