2022年9月11日日曜日

新英国国歌について

 令和4年9月8日、英国の国家元首、エリザベス2世女王が亡くなった。そして即日、チャールズ3世が即位した。

「亡くなる」という表現は、正しいものかどうかわからない。「薨去」とか、「崩御」とかいうべきかもしれない。

 ただ、国歌クラスタにとっては、それよりも大事なことがある。


 英国国歌のタイトルと歌詞が変わる。


 英国国歌「God save the King」のタイトルは、その制定から数度、王の性別により「Queen」と「King」とを行ったり来たりしている。

制定から92年間は、男性王の治世だったから「King」、次にヴィクトリア女王の御代で64年間「Queen」、51年間「King」、そしてエリザベス2世の70年間「Queen」となる。女王の治世が長い!1人の治世期間が男性王の4代分の期間とだいたい同じくらいある。

 更に、「God save the King」の歌詞の中には、「King」以外にも「he」「him」という人称代名詞があり、文法的な正しさのためにこれも変動する。


 以上の二点については、70年前の代替わりの時にも変化した所だが、どうも今回の歌詞変更はそれ以外にも変更された箇所があるようだ。

3番の歌詞に「To sing with heart and voice」とあるが、今回の歌詞変更で「With heart and voice to sing」と変わったようだ。次の節の最後の単語が「King」のため、韻を踏むために「sing」を最後に持ってきたということらしい。

 しかし、「voice」は「Queen」と韻を踏んでいないので、逆に「sing」を「voice」に読み替える必要が無い。不思議に思って調べたら、エリザベス2世の前代ジョージ6世の映像内でも「To sing with heart and voice」と歌っている。

George VI: "God Save the King" (UK National Anthem, Westminster Abbey Choir, 1937 Coronation)

Anthem of the British Empire "God Save the King" (1901-1952)

 思うに、この語順変更はチャールズ3世の時が初めてで、これまでに無かった歌詞変更であろう。


 最後に、エリザベス2世のご冥福をお祈り申し上げます。

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