この作品は、2021年3月18日 23:50に投稿された作品です。
~実在のアニメソングを題材にしています。念のため、歌詞をほとんど削っています。。~
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かなたは気付いた。
これは夢だ。
だって、僕とココが一緒にカラオケに来ることは無い。僕やすいちゃんがいくら誘っても、ココが来たことはない。
僕とココは8人部屋の普通のカラオケボックスにいる。僕がよく使う店のものだ。部屋の四辺のうち二辺にソファが並んでいて、ソファの無い所に壁と、カラオケの機械が置いてある。部屋の中央に机があり、予約機械や料理のメニュー表が置いてある。ココは僕の左側に座って、何か歌ってる。夢だからか、歌声はよく聞こえない。
僕はいつもどおり壁のコンセントに携帯の充電プラグを差し込んで充電した。
「おめぇ、次何歌う?」
ココの声。いつの間にか、ココは歌い終わっていたみたい。
まあ、いいや。せっかくカラオケに来たし、歌おう。
「き、み、を、の、……予約」
超超有名アニメ映画のエンディングに流れる歌。日本人なら大半が知っている歌で、ココも知っているはずだ。
「~~」
僕が歌っている間、ココは無表情でカラオケの機械のモニターを眺めている。日本語の歌詞が表示されて、歌い終わった部分は色が変わっていく。英語のテロップとかを流す方法、無いのかな?
「ル~ル~~ル~」
メロディが切り替わったときに、つい主旋律側ではなくコーラス側の音程を歌ってしまう。当たり前だけど、ルルルだなんて、カラオケの機械には表示されてない。主旋律には歌詞があるもんね。
ココが首をかしげながら、こっちを見てきた。「歌詞違わない?」と思ってるかもしれない。
同じような経験は、何回かしている。たいていは、けげんな表情をされたまま終わる。まれに、ごくまれに、主旋律をかぶせてくれる人もいる。
でも、僕はココにはそれを期待しない。お互いに、あまり多くを期待しないのが僕らだから。今までもそうだったし、これからもそうだ。
だから、僕はココの方をちらっと見ただけで、その歌詞が本来のものであるかのように堂々と歌う。
「つめこ~んで~」
サビに入っても、メロディではなく低い音程のパートを歌う。学校の合唱では、「アルト」パートというけど、イタリア語で「アルト」は「高い」って意味らしい。なんか不思議。逆だよね。
ココは、聞いたことのない音程はあきらめて、僕の声を聞くことにしたようだ。歌い甲斐があるっていうのかな。一心に僕の歌を聞いてくれる人がいると、がんばって歌おうという気持ちになる。それがココならなおさらだ。僕の歌をほめてくれて、好きだって言ってくれて。へい民のみんなには悪いけど、僕の一番大事なファンだ。
歌い終わる。
ココの拍手。少しくすぐったいけど、さすがに慣れた。
「オメー、これ普通の歌?じゃないよな?」
「そうだね、合唱用の音程。普通の主旋律、メインメロディを歌ってる人の裏で、僕はこっちを歌うの」
「ふうん」
ココが合唱をやるとしたら、ソプラノかな、アルトかな。ソプラノも行けると思うけど、声が少し低いから、アルトの方が似合うかな。歌に苦手意識があるみたいだから、練習は必要になるね。まずは苦手意識を取らなくちゃ。
「かなたん」
「何?ココ」
ココはあさっての方を見ながら、僕の名を呼んだ。ココが恥ずかしがる時の仕草だ。かわいい。
「その、合唱っていうの?私たちも………できるんか?」
「~~~~!」
言った。小声だけど、カラオケボックスのCMの音に負けないように、確かに言った。僕の頬が熱くなる。
「できるよ!できる!!ココ!嬉しい!!」
僕はたまらずココの右腕をつかんでぶんぶんと振り回した。大好きなココと、大好きな歌を歌える。こんなに素敵なことは無い。
「何歌う?今の歌でいい?何歌いたい?」
「イテッ!かなたん、早口、早口」
「だぁって~!嬉しいんだもん!!ココ大好き!!」
嬉しいと、ついつい早口になっちゃうよね。
「だ、大好きって、お前、誰にでも言ってるだろ」
「ココは特別だよ~!!」
もちろん、すいちゃんもトワも大好きだし、一緒に歌うのは楽しい。でも、歌が苦手と言っていたココが、僕と一緒に歌うというのが重要なんだ。
「そっ、それに、練習してないから今回は無理だぞ!次な、次!」
次なんて待ってられないよ!歌が難しければ、コールか口上か……
「……そうだなあ、じゃあこれ!」
「聞いたこと無いが」
少し昔の、作画が良いアニメの主題歌を指定する。歌枠でも歌ったこと無い歌。
「これはねえ、サビで拍手するんだよ。いったんスマホで音楽を鳴らすから、拍手のタイミング練習しよう!」
「おっ、おう」
「騒然!鳴り」パァン!
起きた。
自分のベッドだ。
何だったんだろう。
夢は自分の願望を映すと聞いたことがある。僕は、夢の中でココとカラオケに行っていたから……僕はココと一緒に歌いたいんだ。
ココには何度か頼んで、そのたび断られて、ずっと諦めていたけど、願いが消えたわけじゃない。
ふと思い出して、飛び起きる。PCの中の、あるファルダを呼び出した。
「ソーラン節2」
全部僕の声で収録したソーラン節の、動画にした方のデータが入っている。
僕の声で録った前奏を流し、同時に他の音声データも再生する。
「ドッコイショォ!ドッコイショォ!」「ソーラン!ソーラン!」
そうだよ。ココはデビュー直後から、一緒に歌ってくれていたじゃないか。
主旋律は僕。
「ヤァァ~~レンソーランソーランソーランソーランソーラン」
「ハイ!ハイ!」
合いの手はココ。
ひととおり歌ったら、次は2nd fes.の映像を見よう。
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pixivで投稿した2本目の二次創作小説です。シリーズを始めてしまったので、ココ視点の次はかなた視点を書きました。
投稿の時期は、僕が3月10日に前作を投稿した直後、3月14日のホロAmong Usで偏執的ともいえるココのかなたんへの愛を見せつけられたので、触発されて書いたという感じです。
しかし、あまりに完成されたかなココに、妄想をうまく駆動できず、シリーズものとしては続けて書くのを一時中断となりました。
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