2022年10月1日土曜日

アニメ感想「リコリス・リコイル」

  シエル先生に強力に薦められたため、見ました。全体として絵が非常にきれいで、特にキャラクターの美麗さは息をのむほどです。

 1話ずつ、その時点で知っている情報だけで感想を書いています。順に見ている人の感想として読んでいただければ幸いです。

 ここに書くかどうか迷ったのですが、各話で僕がどのくらい満足したかを10点満点で採点しました。絵が綺麗なので点数は高めです。



以下、ネタバレ注意。



リコリス・リコイル1話9点

 女の子が銃をパンパン撃ってて可愛いなと思いました。胸がデカいのはあまり好みでないので、千束よりもたきなの方が好みかな。

 変な演技臭さをできるだけ排し、淡々と任務をこなすかっこよさが◎。戦隊ものでもシンプルな名乗りが好きな僕はとても嬉しい。

 専門用語がたくさん出てきたけれど、繋がりと関係が整理整頓されていて理解しやすい。丁寧な作りの話だと思った。


リコリス・リコイル2話6点

 しかし傍若無人だなこの女子高生。機密情報が周りにどう聞こえるかとかを全く気にしないし、周囲もそれを気に留めない。石ころ帽子でもかぶってるかのようだ。

 孤児がどうのというのは1話でも出てきた。この作品は「明るいガンスリ」だと思って見ているからその程度の設定は大丈夫。しかし、国家機関なんだからパスポートくらい取れるようにしてやれよ。

 あまりに当たらない敵の弾、そして当たる千束の弾。MADLAXかなんかかな?


リコリス・リコイル3話8点

 サクラはわかりやすい噛ませ犬だ。サクラとフキ、そして千束との戦闘能力の隔たりを見せることで、千束の有能さが引き立つ。

 千束やたきな、フキなどは人間がかなりできている方で、DAの少女たちは基本的にサクラと同じくらい性根が曲がっているのだろうと考える。DAでは、DAの組織が全てなので、DA内で認められるためには同僚は蹴落としてナンボなのだろう。DAの指令を無視することが信じられないのも同様。

 サクラもそうだが、たきなも大概、小娘だ。理不尽なことについて、組織が「正義であるべき」だなんて思っていた。DA本部での模擬戦で吹っ切るきっかけを作れた。

 千束が噴水周囲でたきなをこれ見よがしに抱き上げたのは、「周りの目なんてどうでもいい。今、たきながしたいことをして」というメッセージに違いない。尊い。

 模擬戦って、そんなすぐにセッティングしてもらえるものなの?予定は無かったよね?


リコリス・リコイル4話10点

 さかなー!

 たきなの笑顔が見られた。DAの精神的枷が外れたたきなが、千束の奔放な明るさに巻き込まれるのにだんだんと慣れていくのが可愛い。

 たきなにも、「可愛い」と言われて喜ぶ感情があるのは幸いなことだ。

 たきなの真面目な性格はそう簡単には変わらない、というか、変わらないでほしいと思う。千束は年間パスポートまで持ちながら、チンアナゴやタツノオトシゴについて何の知識も無い。知識を駆使しながら知的好奇心を働かせるたきなは、やはりちさととは異なる性格だ。しかし、互いを想う気持ちには、性格の違いなんて関係ない。

 ところで、こいつら何歳だろう?


リコリス・リコイル5話5点

 興醒め。これまでの設定台無し。北押上駅の警備ザル、ミズキさん迂闊すぎ、たきなの身のこなしに精彩無し、松下さん(偽)のどんでん返しのために細部を軽視。気に入らない。

 さすがにここまで派手にやっておいて、本当に世間に一切バレないというのは少し虫が良すぎないかねえ。そのへんの警察官も北押上駅に入れるくらい、警備もザルなのに。

 水上バスが東京を走る、ねえ。夢のある話で。どんだけ交通量要ると思っているんだよ。


リコリス・リコイル6話5点

 弾をも避ける千束にジャンケンで挑むなんて、たきな、油断しすぎだろう……と思ってたらやっぱり説明された。いや飛んでくる弾を筋肉の動きと銃口を見て動体視力で避けるくらいでしょ?出す瞬間に腕だけで判別できるに決まってるだろ。手を変えるだの変えないだのの問題ではない。

 今回は千束が敵さんに捕まってる。今回の、真島さん?は素人さんじゃないので若干強いのかもしれないけど、やはり違和感。暗闇の中、逆光の状態で、殺す勢いで走ってくる車に乗ってる真島の銃弾を避けきってこれは、ちょっとアンバランスに過ぎませんかね。

 雑魚を全部倒すときに真島さんだけ立ってる等、カッコつけ描写が多くなってきている。5話と6話で、リコリコを見る際の姿勢が悪い方に変わった。


リコリス・リコイル7話8点

 なるほど、わかった。リコリコの楽しみ方は、こう色々な衣装を千束とたきなが着るのを愛でるというのを主眼にしたら良いんだな。

 ドレス姿の千束すごく可愛い。綺麗と言うよりも、しっかりと小娘感が出ていてとても良い。くるみが入店時に止められてたけど、千束とたきなはなぜ止められなかったんだ?どう見ても未成年だろ。

 アラン機関のペンダントを、千束が常につけていたのは、松波に偶然会ったときに感謝を示すため。宿願が叶って良かったね。


リコリス・リコイル8話9点

 ウン〇回。

 Twitterのつぶやきみたいな演出は、止めたらちゃんと読めるようになってて好感。「おいしいんだけど・・・・・」アニメをコマ送りで見る、古のオタクへの愛を感じる。

 たきなが千束の私生活にどんどん踏み入ろうとする感じ、立場的にも精神的にもバディである感じ。実際、それは必要なんだろうけど、あからさまに顔を赤らめたりベタベタするんじゃなくて、態度や言動の表現でそれを見せるのが素晴らしい。

 千束、あんな絡み方したら、吉松さんも来ないよそりゃあ。何のために会員限定高級クラブに行ってると思ってんだ。


リコリス・リコイル9話10点

 今週もたきなが可愛い。髪の上からマフラーを巻いた後にできる、髪のたわみを好きでない者がいようか?

 わかりやすく傷つくたきな。千束と最後の思い出にデートに出かけるのはとっても可愛い。服を見て、パンケーキ食べて水族館に行くのは、4話で千束に紹介されて楽しかった所をなぞってる。

 たきながデートを主導する時は、スケジュールを管理して予定通りに事を運ぼうとするたきな流。それでも、予定どおり行かないこともある。そんなとき千束の「やりたいことをやる」精神はとても役に立つ。

 結局、たきなは自分と、自分の周囲が大事すぎて、千変万化の世間に対応するのに慣れていない。そこの所、アラン機関に命を拾ってもらった千束は、世のため人のためを心掛けているから柔軟だ。


リコリス・リコイル10話9点

 リコリコ閉店のお知らせ。

 たきなの優先順位は4話で逆転してしまって、DAに戻るのも全て千束のため。たきなの表情は感情を見せないが、その中には千束への強い愛がある。

 千束の晴れ着、とても可愛い。ミカが着せたら、その思いはひとしおだ。

 アラン機関は、人間の才能を何よりも優先する機関だった。それは千束のこれまでの半生の正義とは異なっているけれど、わからないわけじゃない。「ギフテッド」というが、アラン機関はその技術を独占して、民生利用をさせないようにしている。真島がイラつくのもよくわかる。

 でも真島さん、警察署の襲撃時にもわかったとおり、DAの隠蔽って大したことないでしょ?一般の民草は平和ボケしてるかもしれないけど、刺激が全くないほどではないと思うよ。


リコリス・リコイル11話4点

 もはや少女による殺し屋集団リコリスを隠す余裕がなくなったDA。真島による暴露が無くても、普通にバレてただろう。

 フキチーム、もうめちゃくちゃ。所詮小娘。こいつらが因縁の相手だってわかってるはずなのに、司令部はなぜこいつらを同じチームにした?本当にいつも思うけど司令部ガチで無能だよな。

 初心者が銃を初めて持って、リコリスを射殺!!?非常ベル鳴らしたのにエレベータ動いた!?「かっこいいシーン」を描写したいがために、ちょっと全体的に芝居がかりすぎて、せっかくのかっこいいたきなの登場シーンも陰ってしまう。



 リコリス・リコイル12話7点
 たきなとリコリコの面々が参戦して形勢逆転。耳が良い真島の耳元で大きな音を鳴らしてひるませる手法を、描写だけで説明するスピード感を重視した表現。
 たきなの必死さが可愛い。千束との時間が、たきなの最優先事項になっている。DAをクビになった経緯について謝罪を受けても、全く意に介さない態度が出ている。
 たきなが吉松の暗躍を全部説明してくれた。視聴者にとって優しい。アラン機関は本当に金持ちの道楽だった。自身でDAみたいなの作っててもよさそうだけど、そういうのには興味ないのね。「実はカバンの中に替えの心臓有ります」って展開は無いの?
 延空木もDAも、バックドアでUSBメモリ差すのが王道なのね。Walnutもロボタも、同じ技術で張り合っているとしたら、Walnutはロボタの完全上位互換と言えそう。
 リコリスはやはり、ただの戦闘マシーンで、不意打ちや罠にはめっぽう弱いと見える。延空木で真島と再会する千束は、半分「罠でも構わない」と思ってエレベーターを出ただろうが、たきなは絶対にそれに反応して千束を一人にすべきではなかった。

 あんだけ人を殺しておいて、リコリスはかなり抜けている。そのへんも雑な設定だよなあ。
 雑と言えば、リリベルも相当。リコリコでは、リコリスばっかり活躍して、リリベルの存在はほとんど示唆されない。リリベルは他の現場で暗躍しているとして、表舞台でリコリスの後塵を拝しているということは、「テロ組織に狙われる役はリコリスに任せてリリベルは本当に秘密裏に動く」ってことなのかな?だとすれば、リコリスを生かしておいた方が、延空木の事件後にリリベルが白日の下に晒される危険は減るだろうに。
ま、ただの舞台装置だな。

リコリス・リコイル13話8点
 冒頭千束が掴みかかられたあたりから強いプロレス臭。と思ってたら本当にプロレスだった。真島はバランスどうのこうのと言ってたけど、結局のところアランの申し子のクセに「本気で打ち込める何か」を見つけられず暴力に走ったということなのね。暴走族と同じだ。
 あのさ、千束を助けるのがたきなで、サクラを助けるのはフキなら、エリカはたきなと一緒に上がれよ。千束との感動のシーンを演出したいがためにいい加減すぎるだろ。
 喫茶リコリコは千束の居場所なので、千束が生き返ったら再開するってわけね。数話前まで僕らが見ていた、温かいお店が復活。良かった良かった。

 総括
 王道の展開、定番のシチュエーションが連続する作品だった。複雑な設定には、奇をてらった進行は無理がある。安心して見られ、アニメ初心者にも堂々と進められる作品だ。
 おおまかに、3話までの「登場人物の説明パート」4話から9話までの「温かな日常パート」10話以降の「終わらせ展開パート」の3つに分けられる。このような構成も、キャラクター主体のアニメではごく一般的で、ストレスが少ない。
 人を殺せるけど殺さない、表舞台には出てこないけど超強いヒーロー。人殺しみたいなヨゴレ役は大人の男に押し付ければ大丈夫。老人かと思いきや幼女、味方かと思いきや敵、謎に包まれたすごい組織、死ぬ敵、死なない味方。主人公たちの強さを引き立たせるために、やけに弱く描かれるモブ。女の子同士の友情、嫉妬、同性愛。固い組織の人間が知る、普通の女の子と同じような楽しい幸せ。
 面白くて絵が綺麗で演技臭いプロレス、それがリコリス・リコイルだった。


合計97/130点

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