2023年7月20日木曜日

二次創作小説「封筒と2枚の便箋」

 封筒と2枚の便箋
この作品は、2022年4月30日 12:03に投稿された作品です。
~「だいじなもの」と書かれたフブキの宝箱には、1通の手紙が収められている。
封筒の中には、便箋が2枚入っている。
鍵のかかったフブキの心の中の宝箱には、1通の手紙が大切にしまわれている。
封筒の中には、便箋が3枚入っている。~
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〒173-0003
バーチャル東京都カバー区ホロライブ町1-6-1
白上フブキ様
大神ミオより
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「   フブキへ。

 突然のお手紙、びっくりさせちゃったよね。うちとフブキの仲で、手紙なんて初めてだもんね。
 Discordも、DMも、通話も繋げられなくてごめん。直接言うとまとまらなくなっちゃいそうだから、手紙を書くことにしたんだ。読んでくれると嬉しいな。

 うち、フブキとまつりが一緒になるって聞いて、とっても嬉しいよ。大好きなフブキと、素敵な仲間のまつりが、二人とも一気に幸せになるんだもん。うちも嬉しいに決まってる。
 でも、昨日は本当に突然だったから、少しびっくりして、座りこんで泣いちゃったり、部屋を飛び出したりなんかして、驚かせてしまってごめんなさい。なんでもないの。
 お祝いしてるし、応援するよ。嘘じゃない。


 うちは、フブキに出会ってから、人生(狼生、かな?)が変わったよ。山奥から出ることになって、たくさんの人との縁ができた。
 ホロライブの仲間と出会って、一緒に配信したり、歌を歌ったり、ダンスの練習したりして、とっても楽しかった。今も、毎日楽しいよ。
 それは、フブキがうちを山から連れ出してくれたおかげだよ。フブキは可愛くて、優しくて、うちを色々な人に紹介してくれたよね。
 今のうちの人間関係とお仕事と生活は、全部フブキと出会ってからのものだよ。だから、今のうちにとって」

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「フブキが全てなんだなあって、今、考えてる。フブキが喜んでくれるなら、フブキが求めるなら、うちは何だってできる。

フブキなしでは、今のうちはない。
フブキ、愛してる。

 うちの全ては、フブキでできている。なのになんでうちはフブキの全てじゃないの?
 うちは、フブキがいないと何もできないんだよ。フブキがうちのこと、声とか歌とか好きって言ってくれたから、自信が持てたし、配信だってできてた。フブキが言ってくれたことが今のうちの全部なんだよ。
フブキはこれから、うちにかけてくれる言葉は無くなってしまうの?フブキがうちだけを応援してくれないと、うちはがんばれないよ。うちはフブキがいないとダメなんだよ。
フブキはこれから毎日、うちじゃなくてまつりにお話しするの?まつりとだけお話しして、まつりだけ応援して、まつりだけを元気づける言葉をまつりに言って、うちには言ってくれないの?
 うちはフブキの一番じゃなくなるの?まつりがフブキの一番になるの?

違う違うチガウチガウチガウちがうちがう違うまつりは、最初から、うちと会うずっとずっと前から、フブキの一番だったの?まつりがフブキの大事な人なの?うちがフブキの一番だった時は一度も無     かった?
これまでずっと、フブキはまつりのことを見ていたの?うちは可愛くて優しいフブキの何を見ていたの?うちが見ていたフブキはまつりのことが一番好きなフブキなの?ねえ、うちはフブキに何もできないの?うちと、まつ」

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「フブキ、昨日の事、本当におめでとう。
 二人のこと、ずっとずっと応援しているよ。

 この手紙の2枚目は、一生のお願いだから、一回読んだら捨てて。
 うちは、フブキには嘘をつきたくないし、心を隠したくない。うちが思ってることを、フブキに全部伝えなくちゃ、うちが壊れちゃう。

 だから、どうしても読んでほしくて、書いちゃった。迷惑だったよね。ごめんね。わがままでごめん。
 だけど、これっきりにするから、許して。

 今は、これからの事、あんまり考えられないや。

 少ししたら、また連絡するね。


心からの親友へ


ミオより」


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pixivにて「改ページ」という技術を知って、構想を練った作品です。破線は改ページ箇所を示します。
ページごとに、封筒と、便箋1枚目、2枚目、3枚目を表現しました。徐々に気持ちが昂る所を表現できたと思います。また便箋2枚目と3枚目にも何らかの内容があることをも匂わせています。
手書きで便箋を書くことを考え、実際書いてみましたが、僕の男文字でミオちゃんの手紙を表現することは難しく、泣く泣くボツとなりました。

2023年3月27日月曜日

どこかからいらっしゃった方々へ。

 こんにちは、僕は伊久新之助(いく・しんのすけ)と言います。


目的を持ってこられた方もいらっしゃいましょうが、特に何を求めに来たわけでもない方もいらっしゃいましょう。

そこで、見るべきリンクを取り急ぎいくつかここで挙げておきます。



ホロライブ所属「アキ・ローゼンタール」さんのオリジナル曲「Shallys」を考察しています。

https://dounareba.blogspot.com/search/label/Aki_Rosenthal


ホロライブの二次創作小説を書いてます。

https://www.pixiv.net/users/274049/novels


アニメ感想「リコリス・リコイル」

https://dounareba.blogspot.com/2022/09/10.html


祝典序曲「1812年」の曲中に使用されている曲についての覚書です。

https://dounareba.blogspot.com/2019/01/1812.html


各記事がお気に入りましたら、どうぞタグ等で他の記事もご覧になって行ってください。

2023年3月18日土曜日

二次創作小説「確かに、お返ししました。」

 確かに、お返ししました。

この作品は、2022年3月14日 23:00に投稿された作品です。

~天音かなたと桐生ココのコラボ放送です。
桐生ココ卒業?何のことですか??
現実には、まだまだ油断できない状況ですが、例によって無視しています。

皆さまは、良いホワイトデー、迎えられましたか?~

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 「ううう~~~ん………」
金曜の夜、天音かなたは悩んでいた。
PCの傍らには、きらきらしたラメに彩られた菓子の包み紙が丁寧に折りたたまれている。
2月14日に、桐生ココからもらったバレンタインデーのチョコレート菓子。
とても、おいしゅうございました。

 あれから1か月が経ち、本日は3月11日。
ほんの1週間後にライブを控え、ボイトレにダンスレッスン、提出物、サイン書き、配信と企画の準備に追われ、何んにも用意していない。
「ホワイトデーのお返し、どうしよう」
 引っ越しのドタバタで、バレンタインデーのお礼は結局、discordで話すだけになっちゃったし、焼肉も行ってない。
コンビニのホワイトデーコラボのクリアファイルは、運営さんに頼み込んで2枚もらった。今頃ココの部屋にも同じものがある。ココは結構、そういうの喜んで使ってくれるから、書類とかが入ってるかもしれないな。
まあ、それを「ホワイトデーのプレゼント」って言うのは、さすがに無理があるよね。渡したの、3月入るかどうかくらいだったし。

 百貨店に買いに行くしか無いか……でも、外に出る服が無い。服を買いに行くにも、服を買いに行く服が無い。いい加減通販もしたくないし……。


 ところで、USドラゴンアメリカでは、ホワイトデーに何を上げるんだろう?チョコじゃなくて、マシュマロとかクッキーとかをあげるって、聞いたことがある気がしてきた。
これはヒントになるはず!!

 検索、検索、……『USDAには、ホワイトデーは存在しない』。

 考えることが増えた。
ココはホワイトデーを知らないかも。それなのに、急にプレゼントを贈ってしまったら、誤解されちゃうよ!?
 べ、別に、僕がココにプレゼントしたいんじゃなくて!
ホワイトデーのお返しだから!
「しかたなく」だから!!


 はあ、はあ、………はあ。
疲れた。ホロライブでも見よう。
今夜はホロライブの公式放送があったはずだよね。フブミオ対決。フブミオはとっても仲が良くて、「てぇてぇ」カップリングで目の保養にもピッタリ。きっと今夜も素敵な放送になること間違いなし。



 その晩、天音かなたの目に、飛び込んできた光景は、彼女の正気を飛ばすのに十分な量の「てぇてぇ」であった。彼女はディスプレイの前でたっぷり1時間「無理……無理……」とうめくだけの生物となった。

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 来る、3月14日の夜。
ココに提案し、2日でまとめた企画。配信がうまくいったらいいな。
「みんな、おはよう!おはようではないんですけど。週末に公式放送で致死量のてぇてぇを浴びてしまい、とても良い眠りにつきました。天音かなたです。」
---フブミオてぇてぇ!
---かなココも負けず劣らずてぇてぇのだが?
「はい、みんなお静かに!本日は桐生ココさんをゲストにお呼びして、格付けチェックをですね!したいと思います!!」
「おゎおゎおゎ~!!へい民の皆さん、こんドラゴーン!!桐生ココで~す」
直接お返しするのは、無理無理無理。
だけど企画でなら、おいしいものを食べさせても、バレないよね。
「では早速ですね、ココには目隠しをしてもらいます~。今回格付けチェックを行うのは、それぞれが準備したネタとなっております!僕のネタは……チョコレート!」
---ホワイトデーのチョコだ!
---ホワイトデー尊い
---会長!コメント見てええええええええ
「はい、ここにですね、AからGまでの7つのチョコが用意されておりましてですね、それぞれミルクチョコ、ホワイトチョコ、チョコカカオ50%、焦がしミルクチョコ、高級ミルクチョコ、高級ミルクチョコカカオ72%、高級チョコカカオ50%、……となっております」
「さすがにそれわぁ……間違わねぇだろう」
ココの3Dが腕を組む。
「本当にぃ~?高級チョコとか、わからないんじゃないの?ココぉ」
「てめぇ言ったな?全部当ててやるから吠え面かくなよ?!」

「はい、ココ。あーんして」
「あーん」

Happy White Day!!


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バレンタインデー企画に続いて、ホワイトデー企画の作品です。チョコレートを食べさせあうシチュエーションは、フブミオが公式放送で行った「利きチョコ」を丸パクリしたものです。
【#つながるホロライブ】イベント直前!フブミオ対決!!【#フブミオ対決】
現実では、かなたんの休止が続いており、直近に3rd LIVEが迫っていました。「#かなたん大好き」タグによるtweetが毎日TLに投稿され、僕はそれをまとめておりました。当日のトゥゲッターはこちら。
天音かなたのお見舞い(3月14日)にかけつけ、 #かなたん大好き とエールを送るへい民たち
毎日、みんなでかなたんに届くようにtweetをするのはある意味楽しかったです。

2023年3月14日火曜日

二次創作小説「確かに、お届けしました。」

 確かに、お届けしました。


この作品は、2022年2月14日に投稿された作品です。



~天音かなたと桐生ココのお引越しの一幕です。

現実には、とんでもないタイミングで、とんでもないことになっておりますが、あえて無視しています。


皆さまは、良いバレンタインデー、迎えられましたか?~



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2月12日。
忙しい。忙しい。
配信アーカイブの確認して。
スケジュールの確認して。マネちゃんに送信。
サインは……3日後の僕がやってくれる!後回し!!
箱詰めした段ボールの発送準備して。
あっ、これはまだ発送しちゃダメなやつだった!
ノートPCは一つ残しておきたい。配信したくなったときに困るからね。
マ~ジでやることが多すぎて過去イチ忙しい。
------iPhoneの振動。
Discordの通知だ。誰からだろう。
あっ、ココだっ。
『今忙しいか?』
え……?そりゃ忙しいんですけど……
いやいや、ここは文字通りに受け取ってはいけない。僕は察することができる天使。
ココは、僕が今引越し準備中で、サインも毎日深夜まで書いてることを知ってる。
隣の部屋にいるんだから、「忙しい」ことを知らないはずがない!
と、いうことは!
ココは今すごく重要な話があるはず!!
『ううん、全然!何?』
『部屋行ってもいいか?』
『いいよ』
------扉の開く音。
ラフな格好をして、ココが来た。
「いらっしゃい、ココ」
ココ、なんだかもじもじしてる。手ぶらで僕の部屋に来るときは、いつも、ズンズン入ってくるのに。
「あの……サ」
ココは床を見ながら、両手を体の前でいじったり、しっぽを触ったり、角を触ったり、足踏みをしたりしてる。
「ココ?」
「……!!」
ココの両腕が跳ね上がるみたいに上がって、ココはボクシングのファイティングポーズみたく縮こまった。
「くふふっ!名前呼んだだけでビビりすぎ!」
そんなの、つい笑っちゃうじゃん!
「くふふふっ、ふふふ、それで、ココ、用は何?」
ココはさっきの驚いた姿勢からさらに縮こまって……
「なっ!なんでもねぇ!」
------急いでドアを開け、後ろ手に閉めようとしたドアに尻尾が挟まる音。再度、閉めなおす音。
変なココ。
もじもじしてたけど、目が泳いでたし、たぶん、それほど真剣な話じゃないよね。引っ越し落ち着いたら、また聞く!
------インターホンの音。
あっ、荷物を取りに来た業者さんかな?
早く出なきゃ。
はいはいはーい。
ん?テーブルに小さな紙袋……僕のじゃないし、ココのかな?


「配達よろしくお願いします」
「承りました!」
業者さんに荷物も渡せたし、部屋に戻ろう。
テーブルの紙袋、無くなってる。







2月14日
新居に到着~!
新居で最初にすることは決めてるんだ!当然、配信!!だよね!
『新居に引っ越したよ~!今日は19時から!!』
ツイートもOK!
19時……そういえば、ココ、今日の配信の予定、詳しく聞きたがってたなあ。なんでだろう。
------インターホンの音。
はいはーい。また引っ越しの荷物ね。
あれ?引っ越しの荷物は、さっき届いたので全部のはず。これは何だろう?送り主……僕の名前になってる!?
------包みを開ける音。
えっ?
うっわあああああ!!可愛いチョコレートのお菓子!!
手紙もついてる。
読むしかないよね。

『Happy Valentine's Day!!
直接渡したかったけど、忙しそうだったから宅配便にしたったわ!
先に新居、あっためといてくれよな!』

......!
忘れてた。
忘れてた忘れてた!!
色々、色々全部、見落としてた!!
あんなにココは、僕のこと気にしてくれてたのに、僕は忙しい忙しいって!

------discordのコール音。

「ココ!」
「お~!」
「ごめん!僕、ココのこと放っておいて!」
「なんだよぉ、急に」
「だって!チョコ!!」
「届いたかぁ……日和って渡せなくて、ごめんな。ハハ」
そんな、ココ、僕の方が、悪いのに。
「ココ……!」
いや、でも、僕がココに届ける言葉は、謝罪じゃなくて。
「ココ!!ありがとう!!」

Happy Valentine's Day!!


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クリエーターは、締め切りが無くても作品を書ける者と、締め切りが無ければ作品を書けない者がいます。僕は後者です。

バレンタインデー企画時には、同居中のかなココが一緒に同所に引っ越すということが語られていました。しかしその当日、かなたんはコロナ感染を発表。奇しくも借り始めた新居にセルフ隔離生活となってしまいました。

テーブルに置かれた紙袋。伝えきれない愛が、恥じらいという名の包装紙に包まれているのです。

2023年3月12日日曜日

二次創作小説「クリスマスイブの誘拐」

クリスマスイブの誘拐


 この作品は、2021年12月25日 15:44に投稿された作品です。


~いつもは、かなたんはこんなことは絶対にしません。

しかし、誘拐されて、したことだから、しかたないのです。

だから、「誘拐」なのです。~


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 「お先に失礼します」
口々に、社員は職場を後にする。僕もその一人だ。
階段を降り、地下鉄駅までの短い時間は、少しだけ音の出るアプリを起動することができる。
You Tubeアプリを開き、仕事中に通知されたホロメンのチャンネルを巡回する。耐久歌枠、ゲーム配信、スパチャお礼枠。どれも見たい配信だが、スマホのアプリで見ている以上、どれかを選ぶと他の配信を見ることができなくなる。選択って、残酷で、骨の折れる行動だ。
 今年の24日は金曜日で、つまりは仕事をし終えてからホロライブの配信を見るといういつも通りの日を送ることが元々決まっていた。
家に帰っても、特段することは無い。仕事はまだ納まっておらず、土日を挟んでまだ3日間働く必要がある。年末に休みがあるだけ、いくぶんマシだ。今年も「ゆくホロくるホロ」を見て、正月衣装のホロメンを見て、週明け1月3日から社畜の一年が始まる。

 地下鉄駅に入り、階段を降り終わる。定期を改札にTap、2番ホームの定位置に並んだ。
一旦You Tubeアプリを閉じて、Twitterを開く。こちらの通知も、ホロメンのアカウントがツイートすると全部通知される設定になっているので、配信告知やおはようツイート(今、18時だけど……?)であふれていた。
仕事に情熱を燃やす性格ではないし、これといって友人も多くないので、ホロメンのツイートは、ほとんど唯一の関心事だ。
その中で、ある天使のツイートに目が行った。
 「今夜、赤ウパ耐久しようと思ってたけど、時間変更になるかも!ごめんね!」
 かなたんの配信は見たいけど、他にも目を引く配信がたくさんあるので、リアタイの予定はなかった。もしも重要な暴露があったら、切り抜き師さんたちが切り抜いてくれるだろう。
しかし、杞憂民杞憂民のかなたんが、何の説明もなく時間変更……。きっと配信前に何らかのツイートはあるだろうし、それを待つしかないけど、ちょっと気になるな。

 そんな時、新しい通知がポップアップした。かなたんのRT。ツイート主は、全く知らないアイコンで、アカウント名は「dragon_from_USDA」。
 「今夜、天使をさらってやるぜ!!」


               ~クリスマスイブの誘拐~


 一瞬のうちに、何が起こったかを察した。dragon_from_USDAの正体も、天使をさらうという意味も。
TwitterのTLは、一気に沸き上がった。
『配信が無し、了解!』
『熱いねえ!!』
『お幸せに!』
『ついに、かなたんも結婚か……』
僕も、「いいね」を押して、地下鉄の中ではTwitterをチェックして過ごした。

 地下鉄を降り、家路につくと、誰もいない真っ暗な住宅街を歩くことになる。その時間は、少々音が出ても平気なので、潤羽るしあの配信をつけてラジオ代わりに流すことにした。
 「いいじゃん!うまくできたんじゃない?まだまだ作れるよ!」
るーちゃんのお菓子作り配信は佳境だ。パンケーキが一つできあがり、次のもう一枚を焼き始めた。
「んっ?来たかな?……みんな、ちょっと待ってね!待っててくれる?!」
るーちゃんは何も載っていないホットプレートを映したまま、とたたたっとどこかへ走っていった。
たっぷり5分後、再び声が乗った。
「みんなお待たせ~!かなたんたちが来てくれたよ!クリスマスプレゼントだって!!」
コメント欄がざわつく。当然、みんなTLでのかなたんのRTは見ている。
「写真撮ってきたから……これ!ロウソク!!可愛い~~」
るーちゃんの配信に、写真が載せられた。小さなカップのロウソクの上に、天使とドラゴン、そして蝶の絵が置いてある。
るーちゃんは、遠くに呼び掛けるように、マイクから口を離して、「ありがとう!!」と叫んだ。
「かなたんと……お友達が、“キャンドルサービス”って言ってたー。キャンドルサービスって何?」
それで、僕らはみんな、何が起こったのか再び察した。
『結婚式!!』
『かなココ結婚だ』
『るーちゃんキャンドルサービス知らないの?』
『YEAHHHHHHHH』
と爆速で流れていた。
 かなたんが去った後のるーちゃんのコメント欄も、『かなココ結婚』で埋め尽くされていた。
「みんな急にごめんね~。さっき連絡が来て、『遊びに行っていい?』ってきて、『いいよ』って言ってたんだけど、まさかこんなすごいプレゼントくれるとは思わなかったから」
るーちゃんはパンケーキ生地をホットプレートに広げながら、つぶやく。
「るしあ、今ロウソクの火見てる……いいよね、こういうの」


 僕は家にたどり着いて、るーちゃんの配信を見ながらTwitterを更新した。するとdragon_from_USDAのツイートを、かなたんがまたRTしていた。
「死霊術師の家にお邪魔した次は、騎士団長の家だぜ!!」
 TLのみんなも、ノエル団長の配信に移動するみたいだ。
「団長、今日はこれくらいにして……1時間ポッキリですのでね」
団長の配信は、ちょうどマリオカート配信が終わり、スパチャ読みが始まる時間だった。
「あっ、みなさん、少々お待ちくださいね~」
サンタ衣装の団長が動きを止め、また5分後、戻ってきた。
「ただいま~!かなたんたちが来てくれたんだけど、声乗せたくないって言ってすぐ帰っちゃった。気にしなくていいのにねえ」
そう言って団長が配信に載せたロウソクには、天使とドラゴン、メイスの絵が置かれていた。
「聖夜のキャンドルサービスだって!あこがれちゃうなあ。団長も、フレアと……」

 dragon_from_USDAのツイートとかなたんのRTは、その後も続いた。
 「宝鐘マリン@ホロライブ3期生
配信の合間に、天音かなたとその連れがクリスマスプレゼントをくれました
キャンドルサービスって言ってました
てぇてぇですね」
絵文字を除くと意外に落ち着いた印象のマリン船長のツイートには、やはり火のついたキャンドルの写真があった。天使とドラゴン、そしてドクロ君の絵が添えられていた。
 「白上フブキ@敗北はイカが?
天使とドラゴンがキャンドルサービスしに来たぞ!
クリスマスだからってノロけやがってえー
尊い!」
写真には、天使とドラゴンとトウモロコシの絵が添えられている。
 TLは、
『テーブルを回ってるんだ!』
『尊い……これが天界か……』
『は?尊すぎ死ぬ』
『かなココは永遠だよな!!!』
と、歓迎のツイートがあふれ、「かなココ結婚」がTwitterトレンド1位になった。


 ひとしきりTLの盛り上がりが終わると、かなたんからのツイート通知が来た。
「みんなただいま!!!
色違い赤ウパー耐久!!!やるぞおおおおおお!!!!!」
作りこまれたサムネイルで、ポケモン耐久枠が建てられていた。
しかし、かなたんのツイートの履歴を見ると、「dragon_from_USDA」のツイートをRTした履歴は一つも残っていなかった。
「dragon_from_USDA」のアカウントに飛んでみても、「このアカウントは存在しません」と表示された。
 誰もが、おとなしくかなたんの配信を待つしかないのか……と思った。
しかし、配信の数分前、かなたんのTwitterからまたもやツイート通知が届いた。
 「天音かなた ホロライブ4期生
今日は色んなホロメンのところにお邪魔して、すみませんでした。
近くに住む友人が、これをホロメン全員分作ってくれました。
クリスマス中に全員に届けることはできないけど、届けられる分だけ、さっきまでに届けました。
メリークリスマス。」
そう言って、今日のツイートが無かった全員分の、膨大なロウソクの写真がアップロードされていた。
ロウソクの上には、天使とドラゴンに加えて各ホロメンのモチーフが添えられている。

 ただし、一番手前のロウソクには、天使とドラゴンしか載っていない。
その代わり、ロウソクの前に、かなたんの天使の輪と、代紋ピンバッヂ、そして一対のペアリングが置いてあった。

 さあ、23時からかなたんの配信だ。
どんなコメントと、スーパーチャットを投げようか。


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pixivに小説を投稿し始めて、他の人が「企画」というイベント合わせのようなものをしているのを初めて知りました。

グルッグズ・マッドヴラドが主催した「ホロSSクリスマス甘ネタテロ」が目に入り、僕ならやはりかなココと思ったので書きました。この時期はかなココはまだ同居もしていましたから、それを踏襲した内容になっています。

この時期以降、グルッグズの企画やホロクリエイター企画に参加していくことになります。

2023年3月5日日曜日

アニメ感想「ひろがるスカイプリキュア」~10話

 1話ずつ、その時点で知っている情報だけで感想を書いています。順に見ている人の感想として読んでいただければ幸いです。


 1話

スカイランド王国に突然現れたカバトンは中々手ごわい。あっという間に王城に侵入し、王の手から姫をさらってしまった。ソラとの対決では、放屁攻撃等搦め手も織り交ぜておりけっこう現実的に強い。俺TUEEEEEEE。

ソラの身体能力を見せるための尺が設けられている。体操選手のようだ。ましろに握られた手は隠せぬ恐怖に震えるが、それでも引かない。「ヒーローの出番です!」は最高にかっこいい。

変身シーン、プリキュアと言うよりアイドルっぽい。やっぱ女の子はアイドルに憧れるものなのか。バチコーン☆というウインクにやられた。俺今死にました。


2話

お姫様抱っことか主従契約とかもう……これはオタクを殺しに来ている。ソラちゃん最高にカッコよくて最高に可愛くて、その上関係性でもエモさを出して来るとか強すぎなんだが。主役じゃん。

プリキュアと言えば主役はピンクと思い込んでたが、色々情報を見て、初めて「今作の主役は青キュア」と知るの巻。すっげえ。次世代のプリキュアって感じ。

そうそう、プリキュアと言えば、映画New Stageで「『友達を守りたい』、そんな優しい気持ちを持つ女の子は、誰でもプリキュアになれる」(キュアミューズ)が印象深いが、その概念は「Hugっとプリキュア」で大きく転換した。今作は「友達を守りたい」はあるかもしれないけど、「ヒーローになりたい」がプリキュアになる鍵なのかもしれん。

ばあちゃんがリモートで観戦。マジで何者なんだ。少なくともただモノではない。プリキュアのことも知っているか。現状、ソラの周りにプリキュアのお助け役がいないので、ばあちゃんはその役目?

5追記:「本物のヒーローを見ちゃったから! 」の対比

5追記:お友達から


3話

ばあちゃんの出自、意外とすぐに明かしている。これは、「視聴者が知ってて登場人物が知らない」というのを避けるためか?「サリー・アン問題」は、3歳児には難しく、もう少し年齢が上がれば理解が進むという。非定型発達児も、苦手とするところだ。展開としてどちらでも可能なら、わかりやすい方を選んだということだろう。

生身でもかなり強いソラ。スカイランド神拳!

めっ!可愛い

5追記:「ふっわふわのまっしろわた雲・ましろちゃん」と「プリンセスエル・キラキラ輝く私の一番星」

5追記:「隣に友達がいますから」


4話
ソラの早朝ジョギングに付き合うましろちゃんは、「そのままでいいんです」と言われてたけど、「何かの憧れや目標がないといけないのかな」と悩む。でも、「優しさ」という観点で見れば元々持っていた才能が生かせる、という話だった。まあ「優しい」って、他に特徴が無い人を褒めるのに使われることが多いから難しい言葉だけど、他人のことをよく見て行動するましろを表す言葉としては適しているかもね。
ソラはすぐにひらがなをマスターするくらい非常に利発な子だから「疑う」という考え方を知れば罠にも気づけただろうけど、バカ正直でひっかかったり、隠し事ができなかったりと誠実推し。
スカイは変身さえしてしまえば敵をワンパン。プリズムが手数でどうにか相手してたのと対比される。視聴者側としては、どちらかといえばましろに感情移入するよね。すごい力を持った敵とキュアスカイ。その力になりたい、そんなプリズムの気持ちがわかる。
5追記:「ましろさんは、今のましろさんのままでいいんです」
5追記:「私なんか? そんな事言うな! そんな事、誰にも言わせるな!」

5話
プリキュア戦力が充実した時に無暗に攻めてこないザブトン、やはり強いね。今作は登場人物が非常に理知的。ともあれパワハラ上司から詰められればカバピョンも体力を振り絞ってやるしかない。カバトンのパワーは食べ物から得ているようだ。あのでっぷり肥っていたカバトンがあんなに痩せて……なんかカバトンに同情してきている自分がいる……。
横断歩道のあちらとこちら、ビルのこちらとあちらで描写される二人の距離。一人きりでヒーローの修行をしてきたソラは、他人と協力することに慣れておらず、また協力してもらう方法を知らないかもしれない。プリキュアの仲間として、「ましろさん」ではなく「プリズム」として、5話にして合体必殺技が出て絆を強調している。
「ふたりはプリキュア」。「ともだち」。象徴的な言葉が多く出た回だった。……ちょっとまて、「わ」と書かずに「は」と書けるのはガチですごいぞ。しかも「プリキュア」をカタカナで分け書きしている。ソラ、どんだけ頭良いんだ。
横断歩道のこちらとあちら、ビル屋上のこちらとあちら。右から左の視点移動。

6話
友達という概念に疎かったソラは、もしかすると日本に来て初めて「寂しい」という感情を持ったのかもしれん。異世界から落っこちてきて、一番一緒にいる同世代の子と離れ離れになるのはやっぱり辛いわな。
滅茶苦茶良いシーンで登場するカバトンに「尺の無駄です!」は完全に同意!しかしプリキュアでメタ発言って、結構珍しいね。
カバトンは、5話まではかなりがんばってたけど、今回からギャグに振ったなあ。

7話
典型的な学校登校回。
すごい勢いで日本語の文法や文字体系をマスターしたソラなら、急に中学校にブチ込まれても余裕なのだろう。運動能力は、鍛えているだけあって、さすがの一言。
「ヒーローガール」初出か。前作の結界が無いから、正体がバレるのも時間の問題の気がする。
変身時、スカイの声だけなのは少し寂しいね。プリズムの声も聞かせてくれ~!

8話
多段ロケットや定置プリズムショットで空中の敵に迫るのは面白い。それでも、なかなか届かないあたり、カバトンの優秀さが光る。しかもツバサとエルの隙を突いてエルを略取。ツバサ排出までの動きが完璧。
多段ロケット失敗の際、スカイがビルに墜落する時の音が小さくて良い。空中のかなり上から見ている感が伝わる。
やはり男性プリキュアは違和感が先に立つな……
体当たりつよい

9話
歓迎パーティは、される側よりもする側の方が楽しいものよ。
ソラちゃん、字がうまい。好き。
今回もスルーされるカバトン。6話の再現だ。
ましろの良さは「寄り添う姿勢」なのかもしれない。「ふわり広がる優しい光」だ。でも「優しさ」って表現するのが難しいよね。
やっぱカバトンの屁攻撃強いよね。
陽を背に飛び蹴り!

10話
しつこいほど「少年」と呼び続けるあげはに反発するツバサ。それは自身が「子供扱い」されているように感じて、嫌だったのかもしれない。また、あげはの気ままな性格も、ツバサの生真面目な性格とは隔たりがある。
そんな中でも、あげははツバサの正義や賢さを信頼していて、敵に捕まっても打開策を考えていた。良いタッグになると思わせる面白い回だった。
険しいコースを選んだソラが、迷わずましろの手を引いて山を登っていったのは、友情を感じて非常に良かったです。