以下は2018.8.10~2018.10.14のpostの転載です。
隣課の女子(9)
第四夜(ナナシス編)
例によって中村さんと瑞穂さんの席の後ろに陣取った。課長が近づいてきたが、係長の千種さんたちと話していたので特に触れず。
ところで、世はまさに夏休み真っ盛り。うちは一応お盆も変わらず営業するので、一斉に休暇を取ることはしない。
ちょうど課長が夏休みを取ったところらしく、お土産を配るような雰囲気があった。僕は課が異なるので、無視してデレステをやっていた。
すると、中村さんが声をかけてくれた
「伊久さんもどう?」
課長が、お土産を各人に手渡しするのではなく、課全体に箱で渡してきたので(課長席は離れてるから、箱だけ投下すると言うことが可能なのだ)、僕にも分け前が回ってきたわけだ。しかし、僕はと言えばデレステのイベント中だった。
「ちょ、1分だけ待ってください、この曲2分あるんで」
デレステのゲーム内の曲は全て2分間で統一されている。原曲はもっと長いが、良いところだけ切り出してきているわけだ。
1分たっぷり先輩を待たせた上で、お土産をいただく。
「おいしいですね」
何をもらったかは忘れた。
「それはゲーム?」
中村さんが声をかけてくる。元々、僕がスマホの音ゲーをするからということで白羽の矢が立ったのだ。僕の作戦をくみ取って当然と言える。
「デレステです。アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ」
長いタイトルは、当然中村さんや守山君に聞かせるために発言しているわけではない。
「瑞穂さんはスマホのゲームってやる?」
「デレステ、やってますよ」
マジで。
隣課の女子(10)
うまくいきすぎて怖い。ナナシスだけが頼りだったのに、デレステも会話のきっかけになるか?
「最近は余りログインしてませんが」
「推しはどの子?」
まずは軽くジャブを入れる。
「わかりますかね......大原みちるちゃんって言って」
「パン好きの子だよね」
「そうなんです!可愛いですよねえ。みんな可愛いですけどね」
「そうだね、目がくりくりっとしてて、可愛いよね」
........わからん。
いや、大原みちるはわかるよ。そりゃあ。デレマス時代からやってるからね。しかし、それほど取り上げられることが多くなく、どちらかというと椎名(ドーナツ大好き)や上条(眼鏡命)のようなイロモノ系、掘り下げ不足から人気はそれほどではなく、声もついてない大原みちるが人に聞かれて第一に答える「推し」......?
自分がミーハーなのを差し引いたとしても、ちょっと難しい。
「伊久さんの推しは?」
「僕は奈緒。神谷奈緒」
「ツンデレの子ですね」
「そうそう」
奈緒は人気投票で11位になったこともある人気キャラ。なお母数は190くらいいるから11位はかなり上の方。
「ツンデレが好きなの?」
中村さんから突っ込みが入る。ここはむしろ語るべき所だろう。
「ツンデレは魅力の一部なんです。奈緒はツッコミもボケもできるし、かっこいいも可愛いも目指せる。オールウンダーなんです。その上でのキャラクターの個性が練られていて、キャラに深みがあるんです」
さて、本題に行くか。
隣課の女子(11)
デレステですら、やや響いたので、ナナシスならもう少しいけるだろう。
「他にはねえ、 Tokyo 7th sisters とかやってるよ」
どや!
「私も、やってます」
やった!
「周りでナナシスやってる人がいてね、始めたんだよ」
お前だけどな。
「推しは誰ですか?」
「いやあ、まだ、よくわからないんだよね。始めたばっかだから」
キャラクターがたくさんいて、ゲームインストール時に「インストールされるまでに誰か1人選んでね!そのキャラクターのレアカードあげるよ」と言われたので、晴海家の次女を選択した。
「とりあえず選んだのが、こいつ」
「おお、カジカ……」
何かあるのか?
隣課の女子(12)
ナナシスの話にできた。
「これは、音ゲーなんだよね」
「うーん……」
そこ疑問符?
「ええと、このキャラクターたちは、それぞれユニットを組んでるんですね?」
当時はlescaというユニットがテーマのイベントをやってたのでこちらに話題を移した。
「組んでる子もいますね」
「組んでない子もいるの?」
可哀想なのでは……
「カジカはたくさん組んでますよ。この、ハルジカってのにもいますし、777sisters にもいるし、サンボンリボンにもいるし」
「そんなに」
僕は結構、人気のキャラクターを好きになる傾向があるが、カジカもそうだったみたいだ。
「音ゲーとして、この形は『チュウニズム』と同じだよね。だけどナナシスよりチュウニズムの方が後だから、ナナシスをチュウニズムが真似したんだね」
「うーん、音ゲーになったのが最近なので……」
新情報たくさんでてきた。
隣課の女子(13)
どうも、「ナナシス」は、稼働当初から音ゲーであったことは確かだけど、ゲームスタイルを大きく変えているらしい。
なお、あとでWikipediaで調べたところ、スクフェスが2013年、ナナシスが2014年で、音ゲーシステムは最初からあったようだった。
ただし、音ゲーはUIがものを言うジャンルであるにも関わらず、ナナシスは2回も大幅なかじとりをしたようだ。
まず最初のプレイ映像がこれ。
https://www.youtube.com/watch?v=tnEsbWnZSjM
このスタイルは2014年までに廃止される。
位置が毎回異なるのはPCの音ゲー「osu!」に近い。
しばらく残っていたのが、次のライブステージスタイル。
https://www.youtube.com/watch?v=atBVGHglWlI
これも、どこかのゲームセンターで見たような気もするが、どうも似てるのがないようだ。
2016年に、UIが大きく変わった。
https://www.youtube.com/watch?v=BhTMRkwHV4M
なお、チュウニズムはこれ。
https://www.youtube.com/watch?v=1ElyDNI1xzI
チュウニズム稼働が2015年なので、これを見てナナシスがUIを変えたとしても時系列の矛盾はない。
「じゃあ、とりあえず今やってるイベントはがんばるか」
「はい、エピソード可愛いんで、がんばってください。まあ、エピソードじゃ無くても可愛いんですけど」
確かに、そうっすね。
隣課の女子(14)
結果的に、ナナシスの話では期待ほど盛り上がることができなかった。どちらかというと特撮ヒーローの話の方が興味ありそう。僕より中川の方が話が合うんじゃ無いか?
「中川、そういうわけでナナシスはイマイチだったんよ。中川なら車詳しいから、瑞穂さんと少し話してみたら?」
「えっ?いいんですか?」
何が?
「伊久さん、ナナシス楽しいですか?」
「いや、それほどでも......」
というのも失礼かもしれないが、デレステやミリシタに比べるとそれほど興味を引かれない。まだ推しのキャラが発見できてないからかもしれないけど。
「じゃあ、瑞穂さんのためにナナシスやってるってことですか!それもう完全に瑞穂さんのこと好きじゃないですか」
「あーそうなる?ちょっと違うような......あっ、『そうだよ!大好きだよ』」
「えっ」
こういうときには肯定するに限る。
「そうそう瑞穂さん大好きだよ。愛してるよ」
正直に言えば否定したいところだが、否定すると照れ隠しに解釈される。逆に、過度に肯定することで追求を逃れる手法だ。
「あ、もういいです......」
そして、その手法は中川に対しては成功した。
第四夜(ナナシス編) 終
隣課の女子 第零夜~第一夜
隣課の女子 第二夜~第三夜
隣課の女子 第四夜
隣課の女子 第五夜~第六夜
隣課の女子 第七夜~第九夜
隣課の女子 第十夜~第十一夜
隣課の女子 第十二夜
隣課の女子 第十三夜~最終夜
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