2019年3月21日木曜日

隣課の女子 第十二夜

隣課の女子(30)

第十二夜(アリータ編)


しばらく忙しくて、また話題も無く、話しかけること無く2ヶ月が過ぎた。
しかし、メカ映画を見たとあれば、さすがに感想を伝えねばなるまい。
「竹島は日本固有の領土です」(挨拶)
僕は松江土産の「竹島物語」というお菓子を配った。
「あっ、伊久さん。竹島行ってきたんですか?」
「竹島はねえ、行けないの。韓国軍に捕まっちゃうから」




僕は2月22日に松江に旅行してきた。同日に「竹島の日」記念式典が開かれるので、街の様子を見物するために行ってきた。式典自体は招待を受けないと入れないので、会場(県民会館)に一般客は入れない。だから何をしに行ったというわけではないのだが、「竹島の日」を応援したいという気持ちが松江へと駆り立てたのだった。


「あと献血ね。僕は献血するの趣味だから」
「献血が趣味なんですか」
「これ、ちょっと見て」
献血カードの裏面を見せた。鳥取県とか、埼玉県とか、愛知県とか書いてある。
「献血した都道府県の地名が書かれるんだけど、こう表示されると、『色んな土地で献血したい!』ってなるでしょ」
「それはちょっとわかります」
オタクは通じ合う。



隣課の女子(31)

「この、最新の『鳥取県』ってのが今回献血したとこ」
「鳥取にも行ったんですか?」
「島根の隣だしね。2月22日が、なんと献血ルームが休みだったから、翌日に鳥取で」
献血ルームが平日に休むだなんて、本当に信じられなかった。


「それで、22日には献血できなかったから、暇だったわけ。その時間でちょうど公開日当日だった『アリータ』見てきた」
メカ映画が好きな瑞穂さんなら、チェックしてるはず。
「えっ、見てきたんですか。どうでした?」
いいぞいいぞ。しかし、良い感想が言えなくてすまんな。
「いや~……いまいち」
「本当ですか。私も見ようと思ってるんですが」
「映像美はすごいんだよ、だけど主人公の葛藤とか、キャラクターの心中の機微がすっ飛ばされて、『なんでそうなる?』ってシーンが多くて。原作読んでないからかもしれないけど」
「私も原作は知らないです」
頭空っぽにして映画見るのが好きな瑞穂さんなら、あるいは楽しめるかもしれない。


「監督が、『銃夢』大好きらしくて。映像化したい部分を映像化しすぎた結果かもね」
「監督は誰なんですか?」
「ジェイムズ・キャメロン」(←間違い。監督はロバート・ロドリゲス)
「うーん、知りませんね……」

えっ?
「有名な人だって話だよ?僕もよくは知らんけど」
「(ググる)ターミネーター、タイタニック、アバター、……見たことあります」
そうでしょうよ。なお僕はひとつも見たこと無い。


「『アリータ』始まる前のCMで、『バンブルビー』が宣伝されてて、『あっ、これ瑞穂さんが言ってたやつだ』って思って」(隣課の女子(8)参照)
「そうなんですよ!もうすぐ公開なんです!」
勢い。
「じゃあ、僕はそれも見なきゃいけないな~」
「ぜひ!」
ということで、3月21日に「バンブルビー」を見ることとなったわけだ。












第十二夜(アリータ編)終
隣課の女子 第零夜~第一夜
隣課の女子 第二夜~第三夜
隣課の女子 第四夜
隣課の女子 第五夜~第六夜
隣課の女子 第七夜~第九夜
隣課の女子 第十夜~第十一夜
隣課の女子 第十二夜
隣課の女子 第十三夜~最終夜

※アリータとバンブルビーの感想は別に書きます。

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