2019年2月2日土曜日

小説感想「妹さえいればいい。」9巻

以下は2018.5.28のpostの転載です。

「妹さえいればいい。」原作最新9巻まで読了。平坂読の文章はやはり読みやすい。「ホーンテッド!」から休み休み追ってるので結構長い付き合いだ。
当作の展開はよく練られていて、感を追うごとに面白くなっていく。傑作だ。

平坂の小説で好きなところは、自然な流れで他作品をオマージュするところだ。パクりでも諦めでもなく、きちんと作品の中に溶け込ませていて読ませる。自分の作品もよくセルフパロディーしているが、使い方がうまい。
あとキャラクターの描写が生き生きとしている。各キャラクターに存分にやりたいことをさせている点で、「妹さえいればいい。」は平坂の作品の中で白眉と思う。そのおかげで男性キャラクターは信念が見えるし、女性キャラは美しい。僕は京派、他はアシュリーや青葉が好きです。

平坂の小説で辟易するところは、平坂自身の自己弁護が多すぎるところだ。「僕は友達が少ない」でも多かったが、「妹さえいればいい。」では特にめちゃくちゃに多く、目だつ。さらにその投影キャラにあこがれるキャラクターを作って自己肯定している展開は、「うわぁ...」と声が漏れる。まあ作品に昇華してるから、醜悪一辺倒では無いんだけど......。
あとは、前の展開を引きずってキャラクターのリアクションをいちいち描写するのは、少しまだるっこしい。けど、これは読者にも過去の展開を思い起こさせる意味もあるから、善し悪しと言える。

千尋の秘密が読者に明かされた箇所(1巻くらい)では、「平坂、またこのネタかよ!うすうす気づいてたよ!!」と少しうんざりしていたが、9巻まで読んでみると中々単純じゃない。
素晴らしいラノベ作品だ。

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